第零章 Wood Bassを始めるきっかけ
●エレキ・ギター弾き”ダニー”
昔々あるところにダニーというギター弾きがおったそうな。
そのオトコは、コラエ性のないところを除けばどこにでもいるギター弾きじゃった。
アマチュアのコピーバンドのかけもちをしていて
Rock、Pops洋邦問わず。
まるで助っ人のようじゃった。
金髪のカツラをかぶってヘビメタをしたこともあったそうな。
●れっつロケンロール♪
そんな中でひとつだけ長く続けていたのが、古き良きアメリカの50年代ロケンロールバンドじゃった。
メンバーが京都、大阪、東京、岐阜と離れており、練習時間が無いおかげで、ステージはかなり荒削り…
スーツを着て、髪はリーゼント。ダンスはツイストでステージを行い、
たいそうウケは良かったそうな。
時にはツイストを踊れない若者達がタコ踊りをし始めて、
演奏メンバーが心配するほど会場が熱くなることもあったのじゃ。
年に2回程度、京都、大阪、岐阜のいずれかでステージを行い、
次のライブが楽しみなバンドの中の一つじゃった。
●よくある♪ハ・ナ・シ♪
ある日、ドラムのＡが突然こんな事を言ってきたのじゃ。
Ａ ： 「ボーカルのＢが辞めたいというんでバンド解散する！」
「今までお疲れさん！」ダニー ： 「な、な、な、なんですとぉ〜〜〜！」
晴天の霹靂（へきれき）とはまさにこの事。バンド解散じゃった。
年若いＡにリーダーシップをとらせたのがそもそも間違いだったのじゃろうか？
●バンド解散 ”それぞれの道へ”
Ａの言葉を素直に受け入れ、バンドは解散したそうな。これを期にメンバー達はそれぞれ違う方向へ歩き始めたのじゃった。
最後の最期まで彼にリーダーシップをとらせたのじゃ。
結婚する者、バスケットボールチームで頑張る者、キャバクラにハマル者。
そして、中には、散々Barで飲んだ後に吉野家で1000円以上牛丼を食べ、
倒れる者もおったたそうな。
●燃え尽き症候群？
バンド解散後、分裂したメンバーによって何度か
バンド再編が行われたというウワサが流れたのじゃった。
ダニーに声がかからなかったので、
「偽装解散だったのか？」と、それはたいそう残念がったそうな。
しかし、その時はバンドからの開放感の方が大きかったので放っておいたのじゃ。
その後も助っ人を何回かこなしたのじゃが、
次第にエレキ・ギターを弾かなくなっていったそうな。
そして長くて厳しい冬が訪れた。
いわゆる楽器離れじゃった。
●ネットの海で
ある日、ダニーは、とあるＨＰと出会った。
コンテンツの中に、ギター歴15年、ウッドベース歴12年という管理人さんが、
ジャズ教室の先生の紹介で、思いがけずベースの仕事をすることになったという。
ダニーはそれをたいそう興味深く見させていただいたそうな。
一弦様のページ
おふとんJazz
http://www2s.biglobe.ne.jp/~hongo/j.cgi
「ベースなら弦は4本やし、おいらも譜面を読むことができるカモ？！」
イカニモ、耳と指癖を頼りに演奏する
”なんちゃってギタリスト”の考えそうなことじゃった。
しかし、これが後に大きな誤りであることに気づくのじゃった…
●某Ｙ寺のお戒壇巡り
そんなある日、遠方より訪れた親戚がお戒壇巡りに行きたいというので、
ダニーも一緒に行くことになったのじゃ。
お戒壇巡りとは、各地に様々なものがあるが、そのほとんどは、お寺の本堂の内陣の床下に真っ暗な通路を作り、そこを手探りで進み本尊の下にかかる
極楽の錠前に触れ、秘仏のご本尊と結縁を果たすというものじゃ。
ダニーは過去に何度か挑戦したが、錠前など今まで見つけることができなっかたそうな。
そういうわけで、興味がなかったダニーは、寺に来ても
ベースと読譜のことをずっと考えていたのじゃった。
●「お戒壇巡り」にチャレンジ♪
そんなこんなでダニーは
お戒壇巡りに挑戦したのじゃった。
入口から階段を降り、
瑠璃壇床下の真っ暗な回廊を巡る。
光が全くない中、壁に手をつけつつ
手探りで錠前を探すのは神秘的な感覚じゃ。
目を開けても、閉じても全く何も見えないのじゃ。
しばらく手探りで進んでいくと、
なにやら指に冷たいものが触れる。
「ん？なんやこれ？？」
恐る恐る確認してみると、そこには、おおきな南京錠の化け物のような
錠前があったのじゃ！！
（もしかしてこれか？！）さらに周辺を探ると、奥のほうにさらにもう一つ
錠前を見つけることができた！
「あ〜〜っ！！！」
おそらく、ダニーは極楽の錠前に触れることができたのじゃった。
●決 意
「これは仏様のおぼしめしやろか〜？ おいらにベース弾けゆうてるんちゃうんか〜？」
ダニーは軽く自問自答した後、あっさりWood Bassを始めることを決意したのじゃった。
きわめて思い込みの激しいタイプじゃ。
このオトコにとうてい信仰心があるとは思えないが、物事を始める理由なんて案外こんなものかもしれない。
そんなことを思わせる一幕じゃった。
こうしてオトコはWood Bass弾きになることを決意し、
後に この楽器に振り回されることになったという。
めでたし、めでたし・・・ （まんが日本むかしばなし より一部抜粋）
（第一章へ つづく・・・）
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